【完】さつきあめ

「まぁ、お前も綺麗だよ」

「なんだ、それ」

「どーせおっさんが何であんな綺麗な人振って、自分なんかが好きなんだろうって顔してたからさ」

こいつは時たまエスパーなんじゃないかって思う。

「人を好きになるってのは理屈なんかじゃねぇんだよ。
さくらの話聞いてたらどんな奴かと思ってたけど、それほど悪い人じゃねぇじゃん、あの人」

ちらっと、朝日の眠る寝室へ視線を送る。

「うん…宮沢さんは悪い人じゃない…」

「お前がトイレ行ってる時俺めちゃめちゃ聞かれたよ。
お前はあいつを騙してないのか?とか
あいつは単純だから優しくされたらすぐ人を好きになる、とか」

「げぇ…」

「俺がお前を騙してるんじゃないかってな。
お店で金を使わされてるんじゃないかって、お前がおひとよしだから」

「よけーなお世話…」

「あと、すごく心配してた」

本当に…余計な…お世話…。

「俺はさ、さくらとは友達だし、すげー気が合うし、会ったばっかだけどお前の事はすごいいいやつだと思ってるから、やっぱり幸せになって欲しいし、だからお前が店辞めて光?って人と一緒にいるのも別にそれはそれでいいと思う。
お前の気持ちはお前の物だけだしさ。
でもおっさんもお前が思ってる以上に、お前を大切にしてるんだなって俺は今日感じたわ。ま、でも仕方がないよ、人の気持ちなんて無理やりどうこう出来るもんじゃねぇしな!」

「うん…」

涼は煙草を灰皿に押し付けて、立ち上がった。

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