【完】さつきあめ
「俺、今週も来週もちょっと忙しくて、３週間後になっちゃうんだけど
店休の日、さくらと一緒に行きたいところがあるんだ！」

「え？！」

「俺のお願いひとつ聞いてくれるんだよね？？いいよね！」

店休に光と一緒に出掛ける、それってまるでデートみたいじゃないか。

「それって…！！」

テーブルが大きな音を立てて、いつもはクールな綾乃が大きな声を張り上げて立ち上がった。真剣な表情だったと思う。

「それってデートじゃ～ん」

茶化すように言う美優に対して、綾乃の顔はさえなかった。

「何で…さくらとあんたが…」

「綾乃～やきもちぃ？」

「ばっかじゃない…！何でわたしがあんたとさくらを妬くってのよ！」

「はは～！じゃあさくら休みの日は空けといてね！」

はい、と返事をする間もなく光は去っていった。
風のような人だな。
残された３人が考えていたのは三者三様でわたしはこの時の綾乃の気持ちを汲み取れてあげれなかった。

「え～、てかなんで綾乃そんな怒ってんのぉ？社長が休みに系列の女の子と遊ぶことなんて珍しいことじゃないじゃ～ん！」

「ねぇ、さくら、あんたもしかして本気で有明のこと好きなの？」

美優の言葉を無視して、焦ったように綾乃がわたしに尋ねた。

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