何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「悠はその人のことーー好き?」


沈黙が俺たちの間に流れてからしばらくして、美香の低い声が聞こえてきた。


「好きだよ」


そしてはっきりと、揺るぎない気持ちを俺は発する。


「彼女も、悠のこと好きかな?」

「ーーそう言ってくれてはいるよ」


美香の問いかけの答えは、俺の中にはない。だけど嘘をつくことが苦手な素直な桜のことを、俺は信じていた。それだけで俺には十分なんだ。

だからもう、俺の気持ちが美香に向くことは決してない。早々に諦めて欲しかった。その方がお互いのためになるから。

美香はかわいいから、俺にこだわらなくてもいい人がきっとすぐに見つかるはず。

しかし、俺かそんなことを考えていると。


「でもさ。彼女は知らないんでしょ?」

「ーー? 何が?」

「悠の身体のこと」


まったく想像していなかった美香の言葉に、俺は息が止まりそうになるくらいに驚愕した。

思わず顔を上げて美香の方を見る。彼女は涙ぐみ、悲しそうに微笑んでいた。

ーーすべてを悟っているような顔。

俺の身体のことは、母さん父さんと、一部の親戚の大人しか知らないはずなのに。弟の奏にすら、まだ言っていないのに。
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