何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「ーーなんで。なんで美香が、そのことを知って……」

「伯母さんとうちのお母さんが話してるの、こっそり聞いちゃったの」

「……マジかよ」


俺は頭を抱えて、自分の膝の上に肘をつく。美香には知られたくなかった。いや、美香だけじゃない。

必要以上に誰にも知られたくなんてない。俺を保護する義務がある大人達は仕方がないけれど。

同世代の人に、心配されたり、同情されたり、哀れみの目で見られるのは御免だったんだ。


「ねえ、悠。彼女さんは知らないんでしょ?
悠の身体のこと」

「ーー知らないよ」


消え入りそうな声で俺は言う。そう、まだ桜は俺の身体に何が起こっているかを知らない。

最近の俺の様子を見て、何らかの異変が起こっているんじゃないかとは疑っているようだったけれど。


「彼女さんは、悠の身体のことを知ったらきっと離れていくよ」


美香が突きつけた言葉は、俺が近頃抱いている不安だった。考えるだけで、怖くて怖くてたまらない事柄。

だけど俺はいずれ、それも早いうちに桜に真実を告げなければならないのた。もうその時は迫っているのだから。
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