何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




日が既に落ちた頃に帰宅すると、お母さんがキッチンに立って夕飯を作っていた。

ーーあ、今日は日勤だったんだ。最近お母さんのシフトを確認する余裕もなかった。


「ただいまー」

「おかえりー。もうすぐ晩御飯できるからねー」

「うん」


そして数分後に完成した夕食の配膳を手伝い、私はお母さんと二人っきりの食卓に着いた。

悠が入院し、記憶喪失だと発覚した直後は、ショックのあまりご飯もほとんど喉を通らなかったけれど、最近は食欲も幾分か復活してきた。

デミグラスソースのかかったハンバーグを1切れ口に入れる。ーー相変わらず、お母さんの料理は絶品だ。

しかし、頭の中は先程ファーストフード店で思いついたことでいっぱいで。時々話しかけてくるお母さんに、気のない返事をしてしまっていた。

ーーすると。


「桜、悠くんと今日何かあった?」

「あ……」


案の定、お母さんに突っ込まれた。心配そうな顔をしている。まあ、上の空でぼーっとご飯を食べる娘の異変に、気づかない親なんていないか。

お母さんには、悠と私の間に起こったことをすべて話していた。彼女は、私が落ち込んで帰宅する度に、真剣に話を聞いてくれていた。
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