何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
初めて聞いた、はっきりとした悠の弱音。辛い気持ちはもちろん伝わってきたけれど。

ーー私は嬉しかった。悠が自分の弱い心を共有してくれて。私を、頼ってくれて。


「大丈夫だよ。ーー絶対大丈夫。悠は絶対に目が覚める。長い夢から、絶対に」

「……どうして?」

「だって、約束したからね。ーーずっと一緒にいようって」


私は指輪のガラスドームを指で触れながら、あの日の約束を懐かしんで言った。

すると悠は、出窓に飾られた花達を眺めて、少し安堵したかのように微笑んだ。


「そっかあ。そうだよなあ」


そして、えらく納得したように、そう呟いたのだった。


「ーー私、悠が眠ってしまっても、毎日悠になんでも話すよ。その日にあったこと、今考えていること、全部」


大切な人には、自分の思いをちゃんと伝えておかなきゃいけないから。お母さんが教えてくれた、大事なことだ。


「眠っているから、聞こえてないかもしれないよ」

「聞こえてるよ、きっと」


私がはっきり言うと、悠は穏やかに優しく笑った。

そして私は、少し屈んでからゆっくりと悠に顔を近づけーー。

自分から初めて、悠に口付けをした。
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