何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「ーーうわ。ごめん、ほんと。愛しの彼女を忘れるなんて、サイテーっすよねー俺」


すると悠もふざけた調子で言う。ーーああ、久しぶりだ、この感じ。悠だ。私の大好きな悠が、帰ってきてくれた。


「ほんとそれ。まったく、大変だったんだからー、悠はよそよそしくされるし、美香ちゃんには目の敵にされるしさー。私のメンタルは崩壊寸前だったんだからね?」

「ーー面目ないです」

「うーん。まあ、悠だから特別許してあげる。ーー目覚めたら、たっくさんいろんな所に行って、いろんなことして、ずっと一緒にいてくれるって、約束してくれたらね」


すると悠は、俯いてしばらくの間黙った。そして顔を伏せたまま、恐る恐るこう言った。


「ーー本当に、それでいいの。5年、下手したら7年だよ。高校、大学っていう、人生の楽しい時間を、俺のために犠牲にするんだよ。俺は桜に辛い思いをさせたくないんだよ」

「犠牲だなんて思わない。辛いとも思わない。ーー言ったでしょ? 忘れられてしまった恐怖よりは、全然マシだって」

「…………。本当は怖いんだ。桜の大切な時間をもらっているのに、このまま目が覚めないかもしれないんじゃないかって。二度と桜に会えないかもしれないんじゃないかって」
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