【バレンタイン短編】同期から贈られたおまじないは、キス。
そんなことを考えてると、突然、柳田くんが私を上から睨んだ。ちょっと怖い。


「なあ、史穂。明後日のプレゼン、どうなってる?」
「あ……うん。なんとか」
「なんとか、って。俺達学生じゃないんだから、もっとちゃんと説明しろよ。必要な資料は揃ってるとか、原稿もできてるとか」
「ごめん。とりあえず揃ってはいるんだけど……」
「けど?」
「自信がなくて」


睨んでいた柳田くんの顔が今度は呆れ顔に変わった。


「しょうがなえな。じゃあこれから見てやるよ。相談室空いてるからそこでいいか?」
「あ、うん。すぐ行くね」
「ああ。じゃあ5分後」


柳田くんは再び手をあげて、オフィスの中に消えていった。


「ぶっきらぼうだけど、ホント、面倒見良いよね、崇生って」
「うん。そだね」
「ねえ、史穂。ホントにそう思ってる?」
「うん」
「もう、鈍感。ここまで面倒見いいのは史穂にだけだよ。気づいてないの?」
「え?」


もう、と由佳は呆れ顔でため息をついた。
なに、それ。
それって。


*―*―*


オフィスにもどって、まとめた資料とパソコンを持って相談室に向かった。でも、そんな私の手は震えてる。

さっきの由佳の台詞がぐるぐると回って、頭から離れない。
< 3 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop