【バレンタイン短編】同期から贈られたおまじないは、キス。
背中に感じる人の気配。カサカサとこすれる服の音。
「何やってんだよ。向きが反対だろ」
柳田くんだ。柳田くんの声。
背中から覆いかぶさる格好で手を重ねられているから、当然、距離が近い。私の背中に彼のスーツが触れている。柳田くんの口は私の耳元。彼の息遣いが伝わる。
柳田くんは私の手を握ったままメモリスティックを裏返しにして差し込んだ。モニターにUSBの表示が現れて、無事につながったのが確認できた。
のに。
柳田くんは私から離れない。
手を握ったまま。
「史穂。お前大丈夫か?」
「ちょっと緊張してるだけ。大丈夫。いつものことだから……」
「大丈夫じゃないだろ。USBの向きにも気づかないくらい緊張してるってさ」
「そうだけど……。え?」
柳田くんのもうひとつの手が徐に上がる。その腕は私の胸の前で折られ、そのまま抱きしめられた。
「何やってんだよ。向きが反対だろ」
柳田くんだ。柳田くんの声。
背中から覆いかぶさる格好で手を重ねられているから、当然、距離が近い。私の背中に彼のスーツが触れている。柳田くんの口は私の耳元。彼の息遣いが伝わる。
柳田くんは私の手を握ったままメモリスティックを裏返しにして差し込んだ。モニターにUSBの表示が現れて、無事につながったのが確認できた。
のに。
柳田くんは私から離れない。
手を握ったまま。
「史穂。お前大丈夫か?」
「ちょっと緊張してるだけ。大丈夫。いつものことだから……」
「大丈夫じゃないだろ。USBの向きにも気づかないくらい緊張してるってさ」
「そうだけど……。え?」
柳田くんのもうひとつの手が徐に上がる。その腕は私の胸の前で折られ、そのまま抱きしめられた。