純真~こじらせ初恋の攻略法~
同窓会の滞在時間は、僅か30分といったところだろうか。

今頃田原くんがあの5人をどうしているのか。

それは後で亜弓と奈緒に聞くことにしよう。

店の外に出て一息つくと、藤瀬くんは繋いでいた私の手を離そうとした。

けれど私は慌てて力を込めて抵抗する。

「また、離すつもり?」

私のこと……と小さい声で呟くと、藤瀬くんは広げていた手をグッと握り、私の手を包み込んでくれた。

この手を私はずっと待ってたんだ。

胸がいっぱいになって、言葉が出ないとはこのことだ。

「行きたいところがあるんだ。一緒に来てくれる?」

そう言われて私が大きく頷くと、藤瀬くんは私の手を引きながら大通りへ行くと、すぐにタクシーを拾って乗り込んだ。

藤瀬くんがタクシーの運転手に告げた場所は、私達にとってなじみ深い場所だ。

車を飛ばすこと15分ほどで、タクシーはゆっくりと速度を落として停車した。

車を降りると、一気にあの頃の記憶でいっぱいになる。

「ここ……」

突っ立っている私の手を引きながら、藤瀬くんは歩き出した。

「もう二度と、茉莉香とここに来ることなんてないと思ってたよ」

「……私も」

ここは昔、私達がまだお互いを信じあっていた頃、学校帰りや塾の帰り、デートの帰りなど、離れがたい時にいつも最後の時間を過ごした公園だった。

ここを通るたびに藤瀬くんを思い出してしまいそうで、実家に帰るときはいつも敢えてこの道を避けていた。

その公園に、まさか二人で来ることになろうとは。

いろんな感情が溢れ出してきて、私の頬を一筋の涙が零れていった。
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