純真~こじらせ初恋の攻略法~
これを目にするのはどれくらいぶりだろうか。

流れた涙を拭うのも忘れ、私はその紙を食い入るように見つめた。

黄ばんでよれたルーズリーフには、定規さえも使用していない乱雑な設計図が描いてあった。

上段には一階とお庭、下段には二階が描かれている。

これはまだ自分の夢を見つけたばかりの頃、藤瀬くんとあの公園で描いた、私達二人のマイホ夢のーム設計図だ。

設計図というのもおこがましいぐらいの、落書き程度の設計図。

けれどこの紙には、私達の幸せな想いがたくさん詰まっていた。

「これ……とっくに捨てたと思ってた」

一階のリビングは広くて開放感があって、キッチンは孤立しないように一体感を大切に。

バスやトイレなどはキッチンからも玄関からも両方から出入りできるように。

和室は琉球畳で日本の赴きを大事にしながらもカジュアルに。

二階には寝室と子供部屋二つの三部屋。

窓とベランダをそれぞれに付けて、明るく日の光を存分に浴びれるように。

子どもは男の子と女の子の二人がいい。

そんなことを、純粋だった私達は二人笑顔で話し合って描き起こした。

けれどその紙の行方を私は気にも留めたことがなかった。

まさか藤瀬くんが持っていたなんて思ってもみなかった。

「捨ててしまおうと思ったんだ。何度も何度も捨てようと思った。だけどこの紙を見るたび、俺の心が軋んだんだ」

「藤瀬くん……」

「どうして捨てられないんだ。どうしてこの紙に縛られてるんだ。どうしてこの紙を毎回眺めてしまうんだ。なかなか向き合えない自分の心と自問自答し続けて、答えが出るまで二年かかった」

見つめた藤瀬くんの顔は、とっても優しく微笑みかけてきた。
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