純真～こじらせ初恋の攻略法～
episode ３

乱される心

週末に私は中学の時からの親友である、高山亜弓と野中奈緒の三人でダイニングバーに出かけた。

転職し藤瀬くんと再会したことは、その日のうちにSNSのグループで伝えていた。

３人でグラスを傾けても、あの頃のことやその後の私の変化など、全てを知り尽くしている二人は、私たちの再会をとても心配してくれている。

親友の優しさと思いやりに、私は笑顔で『心配ない』と返した。

藤瀬くんの立場と仕事量を考えたら、彼の言うとおり、サポートするこちらにも相当な覚悟がいるのだ。

過去を振り返る余裕さえもないだろう。

きっと神様が、過去は忘れてお互いに新たなる道を進めと仰っているに違いない。

心の余裕ができたからこそ、私達は再会したのだ。

そう考えるのが一番いい。

「気持ち、乱されないでよ？」

亜弓のストレートな言葉に心がザワついたのは秘密にしておこう。

自ら一線を引き、彼もそれに同意した。

その事実がある限り、私の気持ちが線を越えることなんて……。

もう二度とあってはならないのだから。

「絶対にありえないから」

笑い飛ばしてそういったものの、本当は自分の言葉に責任を持つには不確かな気持ちを押し殺すのが精一杯だった。
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