絶対領域
「萌奈」
「モエモエ~」
全開の扉から、あず兄だけじゃなく、ゆーちゃんも姿を現した。
今日はお迎えが2人なんだね。
「ゆーちゃんも迎えに来てくれたの?」
「うんっ!モエモエとのお買い物が楽しみで来ちゃったぁ」
きゅん、として彼氏気分になる。
……普通なら。
「あっ、今日は大宮くんもいる!」
「超絶可愛いって噂の、隣のクラスの子!?」
「矢浦さんと仲いいんだな。知らなかった」
「矢浦さんって一体……」
「あそこだけ別世界だ。美男美女しかいない」
もはや日課となりつつあるクラスメイトの騒ぎよう。
彼らは、気づいていない。
だけど、私は、見えてしまった。
ゆーちゃんのカバンからはみ出た、鎖の片鱗を。
……うん、そっか。
早くストレス発散したいんだね。
いいよ、あえてツッコミはしないよ。
私もあず兄も、今日は一日、ゆーちゃんのストレス発散に付き合うとしますか。