絶対領域
「そ、それじゃあ、僕も鎖を買ってこよーっと」
「鎖!?おい、こいつに何する気だ」
「え?何って……どこにも行かないように縛り付けて、守ってあげ……」
「お前はバカか。んなことする必要ない」
「僕には必要なのぉ!」
「あ、おい、待て!!」
濃いピンクの髪の男の子が、病室を飛び出した。
後を追って、あず兄も走っていく。
「行ってくる」
「すぐ戻るから安静にしててね、姉ちゃん!」
「うん、わざわざごめんね、ありがとう。行ってらっしゃい」
笑顔で見送ると、しん兄とせーちゃんも小さく微笑んでくれた。
パタン。
静かに扉が閉まる。
この部屋に、私と薄い赤茶色の髪の男の子の2人だけとなった。
「…………」
「…………」
彼が私を知っていても、私は彼を知らない。
だからだろうか。なんとなく気まずい。