絶対領域
誰だって、自分の秘密を勝手に詮索されるのは、心底不快だろう。
だが、他人が隠しているものほど暴きたくなるのもまた、人の性だ。
だからこそ、情報屋には、味方になりたがる奴も敵になる奴も多い。
自分の秘密をさらされる前に口止めしておくか、他人の秘密を利用させてもらうか。
どちらかしなければ、自分が痛い目に遭う。
要は、殺られる前に殺れ、ってこと。
情報は、恐ろしい武器になる。
俺はその武器を、人助けにしか使わない主義だ。
誰かを救うためなら、苦しめてる悪者をぶっ殺す。
悪魔のように、容赦なく。
ただ、これは俺自身が行動する場合であって、依頼は別。
注文があれば、気分によって応える。
頼まれた調査で、天使の正体と同じように、運よく掴んだ情報も少なくない。
何が切り札となる情報になるかわからないのだ。
初めの頃は、秘密をみだりに握ったりバラしたりするのに抵抗があった。
だけど、戦力がないと、この世界では生きていけない。
俺の選んだ戦力が、たまたま情報という名の武器だった。
萌奈ちゃんのだけじゃない。
他の皆の秘密も、知ってるよ。
罪悪感はあんまりないけど、責任はある。
知ってしまったなら、最後まで守り抜かないと。