平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「わかった……」

 すんなり認めたディオンは、入ってきた窓から身軽に出ていった。

(簡単に引いたってことは、やっぱり退屈しのぎだったの……?)

 それはそれで寂しい気持ちがあるが、これでよかったのだと、桜子は近くの椅子に腰を下ろす。

 だが、座ってもディオンが気になり、立ち上がる。ディオンともう一度話をしなければと思った。しかし、立場上好きになってはいけない人だ。

 何度か立ったり座ったりと、忙しい桜子だ。

 そこへ扉が叩かれ、カリスタがエルマ、そして後ろに女官を伴い、部屋へ入ってきた。

 カリスタの表情はいつもより硬い。桜子は小首を傾げる。

「サクラ、新しいお前さんつきの女官を紹介しよう」
「え? 新しい……?」

(エルマといつも一緒に行動している女官じゃないの?)

 カリスタはエルマの後ろにいた女官を、桜子の前に移動させた。次の瞬間、桜子は「あっ!」と声を漏らす。

 その女官はザイダだった。近づいてくるザイダに足枷はなく、俯きながら歩いてくる。そして着ている服は女官の衣装だ。

「カリスタ。ザイダは国を追放されずに済んだのですか!?」

 嬉しくて笑みがこぼれる桜子だ。

「ああ。ディオンさまが、サクラが悲しむところを見るのは嫌だからと、決定を覆したのさ」
「ディオンさまが……」

 桜子は驚きを隠せない。

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