平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「え? サクラ、いったいどうしたんだい?」

 カリスタの問いはすでに遅く、桜子は部屋を出ていった。

 後宮を出た桜子は庭へ出て、いつもディオンがいる娯楽室へ向かった。しかし、残念ながら美しい音色は聴こえてこない。

 桜子はディオンを信じていなかったことを一刻も早く謝りたかった。

 キョロキョロと庭を歩き回る。宮殿の中へ入る許可は得ておらず、ウロウロとディオンの姿を探した。

「どこに いるんだろう……」

 それほどディオンのことを知らないのだ。

 がっかりして後宮に戻ろうとしたとき、イアニスがやってきた。桜子はイアニスに駆け寄る。

「あの、ディオンさまに会いたいのですが」
「今は出かけられております」

 ディオンはアシュアン宮殿を出ていたのだ。桜子はがっかりした。

「夕刻には戻られる予定ですよ」

 イアニスは気落ちした桜子が可哀想になり、教えた。
 

 ディオンはラウリとニコを伴い、町の警備局に来ていた。

 桜子がこのアシュアンに来たときに襲った男たちが捕まった、との連絡を受けたのは先ほどのこと。

 一度は警備局の者の不手際で釈放したが、ようやく三人を捕まえたのだ。

 三人に尋問をするのはラウリとニコだ。ディオンは隣の部屋で話を聞いていた。

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