平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 桜子を見つけたときは、森へ入る手前で気を失っていたという。そして意識を取り戻した桜子に襲いかかったところ、見たことのない武器で倒されたと。

 以前報告を受けた話と一緒で、新情報はなかった。少しでも桜子のことを知りたかったディオンだ。

 桜子が帰りたくて仕方なくなったときに、なにか手伝えればと思っていた。

 彼女に惹かれているディオンは、手放したくないと思っている。自分を愛してくれれば、全身全霊で桜子を愛したい。

 今までこんな思いを抱いた娘はいなかった。

 ディオンは桜子にキスをしたときのことを思い出す。

(驚いていたな。確かに、私も口づけるつもりではなかった)

「殿下、そろそろ宮殿に。雷雨が近づいております」

 ラウリとニコがディオンの元に戻ってきていた。

「雷雨か……サクラが心配だ。あれは雷をひどく怖がる」

 ディオンは隊長と副隊長に見送られ、警備局を後にした。


 
 遠かった雷雲は、宮殿に到着する頃には凄まじくなっていた。

 ディオンらが雨に濡れるのは免れず、頭上で雷も激しく鳴っていた。青のタイルが美しい宮殿の門に着いたディオンは、馬を衛兵に預ける。


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