平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 そこで空がピカッと光った瞬時、ゴロゴロドドーン!と轟いた。

「きゃーっ!」

 雨がかからない門の隅で耳を押さえ、座り込み、俯く桜子がいた。雷におびえる桜子はディオンに気づいていない。

「サクラ!?」

 ディオンは桜子に近づき、彼女の前に片膝を着く。

「サクラ、なぜこのようなところにいるんだ!?」

 肩に手を置かれた桜子はようやくディオンの存在を認め、ホッと安堵した顔になった。

「ディオンさま……」

 桜子はディオンの胸に飛び込む。

「サクラ、濡れしまう」

 そう言いつつもディオンは桜子が離せず、肩を抱きしめた。

「雷が怖いのに、どうしたのだ? エルマやカリスタが心配をしているだろう?」

 石造りのがっしりした巨大な門で、雨がかからずにいられるが、ここでは音や光はいやがおうにも目の当たりになる。

 雷が怖い桜子がこのようなところにいることに、ディオンは胸を痛めた。

「ディオンさまにお話が……」

 空が雷で光り、桜子は息を呑む。

 そしてドーン!と激しい雷鳴がした。

「きゃーっ!!」

 ディオンは震える桜子の肩を強く抱きしめる。

「大丈夫だ。しかし、ここでは話も出来ない。部屋へ行こう」

 ディオンは桜子を立たせた。桜子の足がふらつく。


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