平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「申し訳ありませんっ!」

 ニコはその場で両手を地面について詫びる。

「ニコさんっ、謝らないでくださいっ。これくらい平気ですから」

 桜子が大丈夫だと言っても、ディオンがこれを見たら大変なことになると、ニコは寒気を覚える。

 そこへタイミング悪く、ディオンがラウリとやってきた。

「サクラ? ニコ? 座ってどうした?」

 桜子は膝を隠そうとしたが、短いスカートは役立たずで、ディオンに見つかってしまった。

「血が出ている! ラウリ、医者を呼べ。ニコ、どういうことだ?」

 ディオンは素早く近づき、桜子を抱き上げた。

「自分で転んだんですっ。ニコさんは関係ありませんっ。歩けます! ディオンさま、下ろしてくださいっ」
「ダメだ。やはり鍛錬をさせるには無理があった。それに、この美しい脚を男の目に晒すとは……」

 不機嫌全開なディオンは、後宮に向かって歩く。

「無理なんかないですっ。こんなことはしょっちゅうなんです! それに私の世界では、スカートの長さは普通なんです!」

 ディオンの足がピタッと止まり、アメジストの瞳がギロリと桜子を見る。

「私の庇護の元にいる以上、怪我は許さない。そのように短い衣装も」

 怒気を含んだ声で言い放つと、再び歩きだした。

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