平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 アシュアンの町にある警備局に、ディオン一行が馬で乗りつけた。ディオンの愛馬は白の艶やかな毛並み。他の者は黒毛の馬だ。
 
 警備隊長、副隊長が警備局の外で第三皇子を待っていた。白馬からヒラリとディオンが下乗する。
 
 陽が落ちかけて、辺りは薄暗くなってきていた。

「殿下、ご足労いただき恐縮でございます」

 警備隊長が挨拶し、副隊長共々、深く頭を下げる。

 ディオンは軽く頷いただけで、石造りの建物の中へ足を進める。その際にもラウリが先頭だ。ラウリとニコの腰には。

 太くて長さのある剣が提げられている。

「まずはお茶を――」
「いや。すぐに娘に会いたい」

 警備隊長の言葉を遮り、ディオンは石造りの階段を下りていく。ところどころにロウソクが灯されて薄暗く、どこからか吹く風に揺れている。

 足音だけが、静まり返った廊下に響いている。

 地下には、清潔とはいえない鉄格子の牢屋が左右三部屋ずつある。

 その一番奥の右の牢屋に桜子は入れられていた。あとの牢屋には誰も入っていない。桜子を襲った男たちは釈放されていた。

 ディオンは最初、牢屋に誰もいないように思った。

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