平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
エピローグ
 ルキアノス皇帝は半年後に、体調を理由に退位し、ディオン・アシュアン・ベルタッジアが次の皇帝となった。
 
 さんざん策略を凝らしたイヴァナ皇后と、未来の皇妃を殺害しようとしたダフネ姫は、地下牢に幽閉されることが決まった。
 
 ルキアノスが前皇帝にしたことは不可抗力だったとディオンは信じ、彼はベルタッジアの外れにある、第四皇子が統治するペドゥラ領へ移り住むことになる。
 
 アシュアン領は皇都の隣で、それほど離れていないことから、皇都とひとつになる。

 皇帝となるディオンが住むと決めたのは、アシュアン領の今の宮殿だ。桜子が皇都よりアシュアン領のほうが好きと言ったのも、理由のひとつであった。
 

 桜子はディオンと共に、この世界で倒れていた場所を馬で訪れていた。

 夕日が落ちかけ、辺りがオレンジ色に染まっている。

 前のようにその場へは行かずに、桜子は遠くから見ている。この世界へ来たときは一刻も早く戻りたいと願っていたが、今はディオンから離れるのが怖い。

(ここへ 来たときに考えた。私はトラックに轢かれて植物人間になってしまい、死にかけており、長い夢を見ているのかもしれない)

 今までのことが走馬灯のように頭を巡っている。

(だけど、ここで生活している実感がある。ディオンさまに触れることもできるし、愛されている。だから、幸せがこのまま続きますように)

 桜子はその場所に向かって、両手を合わせた。そんな桜子を、ディオンは優しく見守っている。

「ディオンさま、もうここへは来ません。もしもその先へ行かなくてはならないときは、遠回りをします」
「不安なんだな」

 桜子はディオンをそっと仰ぎ見る。黒曜石のような瞳は、濡れてキラキラしていた。

「はい。ディオンさまから離れることが不安でなりません。だから……ずっと私を捕まえておいてくださいね」
「もちろんだ。愛おしい人。そうとなれば、早くここを離れよう。明日は婚姻の儀だ。世界一幸せな花嫁になってほしい」

 ディオンは白馬に騎乗し、手を差し出した。その手を掴むと、桜子はふわりと浮き、ディオンの前に座らされる。

 ふたりは自然とキスを交わしてから、寄り添いながらアシュアン宮殿に向けて出発した。
 
 END
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