平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「こんなもので胸を潰しているなんて」

 エルマは見ただけで取ることはせず、右肩の痣になっている患部に冷たい布を当てる。

 その冷たさに桜子はビクッと身体を跳ねさせたが、目を開けなかった。

 布はすぐに温まってしまい、エルマは何度も布を変えた。
 

 空が白み、太陽が出始めた頃、桜子は目を覚ました。

(私……)

 自分がどこにいるのかわからず、右肩の痛みを覚えながら身体を起こす。次の瞬間、ブラジャーだけの姿の自分にビックリする。濡れた布が肩から落ちたことから、患部を冷やしてくれていたのだと悟る。

 ブラジャー姿に一瞬、ビックリしたが水着を着ていると思えばいい。

(だけど、脱がしたのは……)

 困惑する桜子だが、目の端に動く者に気づいた。

「だ、誰っ!?」

 桜子は瞬時に、そちらの方を向く。その途端、痛みに襲われて顔が歪む。

「数日は痛いわよ」

 桜子は近づいてくる女性を困惑した顔で見る。黄色の足首までのサンドレスのような服を着ていた。ブラウン系の髪は耳の横で三つ編みにしている。三つ編みを解いたら、背中までありそうだ。

「あなたは……? ここはどこですかっ!?」

(ここは宮殿なの? あの人は宮殿へ連れて行くって行ってたけど……)

 簡素ながらも、牢屋より格段に素晴らしい部屋だったが、想像する宮殿の一室には見えない。


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