平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「ありがとうございます」

 テーブルの上に盆が置かれ、エルマと女官が出ていった。

 チキンレッグのような肉の塊と、丸いパン、クリーム系の野菜が入ったスープ、ゼリーのようなデザート。葡萄色をした飲み物もある。ここの食材はどれも桜子が知っているものでホッとしている。チキンといっても鶏なのか鳩なのかは、聞いてみなければわからないが。
 
一度は窓から遠ざかったが、テーブルは窓の近くにある。カーテンはなく、空を見てみると、黒い雲はかなり近くになって雷も聴こえてきていた。

(早く食べよう)

「いただきます!」

 桜子は急いで料理を口にした。葡萄色をした飲み物が気になり、匂いを嗅いだ。

「これって、お酒みたい。未成年なのに……」

 そう言ってから、ここの法律は違うのかもと思い直した。

 そのとき、窓の外がピカッと光ったのち、すぐに地響きがするような猛烈な爆音の雷が鳴った。

「きゃーっ!」

 桜子は肩をすくめてテーブルを離れ、寝台へ走った。そして薄い布の上掛けを頭から被る。

「もーいやっー」

激しい雷雨が一刻も早く去ることを祈る桜子だ。

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