平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
鮮やかなオレンジ色の服を身につけ、髪の毛は結ばずに、肩に垂らしたままにした。
(ディオンさまが言ったからじゃないわ)
結ぶのが面倒だから、と言い訳を心の中でして、湯殿から後宮へ戻る途中、カリスタに会う。
「サクラ! ここにいたのかい」
「カリスタ、湯殿に行っていたんです。もしかして探しましたか?」
「湯殿へ行ったのはわかっていたよ。いつもより時間がかかったんじゃないかい?」
カリスタの茶色の瞳が、桜子の顔をジッと見る。
泣いたせいで目が赤いのかもしれないと思った桜子は、にっこり笑う。
「気持ちがよくて、ちょっとボーッとしてしまったんです。なにか私に用事でも? あ、お手伝いがありますか?」
「サクラに手伝ってもらうことなんてないよ。甘くてみずみずしい果物が手に入ったから、サクラに食べさせたくてね。部屋に置いてあるからね」
カリスタは本当の祖母のようだと、桜子は胸が熱くなる。
「ありがとうございます」
「いいんだよ。少しでも寂しさがまぎれるといいね」
桜子に腕を回し、カリスタは抱きしめて背をポンポンと叩く。その抱擁に桜子は救われる思いだ。カリスタのおかげで、ひどく落ち込むことはない。
そこへイアニスがやってきた。グレーの長衣を着て、背が高い彼は顔を顰めている。
「おばあさま、孫の私にでさえ、そんな風に抱きしめたことがないのに」
「お前は男だからね。男は強くなくてはならない。だから甘やかさなかったんだよ」
イアニスの表情は硬い。まだ桜子を信用していないせいだ。
(ディオンさまが言ったからじゃないわ)
結ぶのが面倒だから、と言い訳を心の中でして、湯殿から後宮へ戻る途中、カリスタに会う。
「サクラ! ここにいたのかい」
「カリスタ、湯殿に行っていたんです。もしかして探しましたか?」
「湯殿へ行ったのはわかっていたよ。いつもより時間がかかったんじゃないかい?」
カリスタの茶色の瞳が、桜子の顔をジッと見る。
泣いたせいで目が赤いのかもしれないと思った桜子は、にっこり笑う。
「気持ちがよくて、ちょっとボーッとしてしまったんです。なにか私に用事でも? あ、お手伝いがありますか?」
「サクラに手伝ってもらうことなんてないよ。甘くてみずみずしい果物が手に入ったから、サクラに食べさせたくてね。部屋に置いてあるからね」
カリスタは本当の祖母のようだと、桜子は胸が熱くなる。
「ありがとうございます」
「いいんだよ。少しでも寂しさがまぎれるといいね」
桜子に腕を回し、カリスタは抱きしめて背をポンポンと叩く。その抱擁に桜子は救われる思いだ。カリスタのおかげで、ひどく落ち込むことはない。
そこへイアニスがやってきた。グレーの長衣を着て、背が高い彼は顔を顰めている。
「おばあさま、孫の私にでさえ、そんな風に抱きしめたことがないのに」
「お前は男だからね。男は強くなくてはならない。だから甘やかさなかったんだよ」
イアニスの表情は硬い。まだ桜子を信用していないせいだ。