平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「ディオンさまが怒るところなんて、想像できないです」
「普段は温厚そのもののお方だけど、いざというときは周りの者を凍りつかせるくらい怖いんだよ。今回のこともディオンさまはいつになく厳しかったんだよ」
「捕まった女官が犯人だと確定したとしたら、どうなるんですか?」
 
 先ほど、法にのっとって重い罪になるかもしれないと言われたが、それがどんなものなのかわからない桜子は聞いた。

「うーん……もしかしたら斬首刑になるかもね。それほどディオンさまはお怒りだったからね。ほら、今はそんなことを考えずに休むんだよ」

 カリスタは桜子を寝台に横たわらせる。

(斬首刑……って、首をはねられるっていうこと……?)

 桜子の困惑に気づかずに、カリスタは部屋を出ていった。

 ひとりになった桜子は身体を起こし体育座りをして、女官とぶつかったときのことを考える。

 本来優しい桜子だ。女官の処分が気になる。

 平和な環境で生活していた桜子は、斬首刑が映画やドラマのようでピンとこないが、想像すると吐き気が込み上げてくる。

(その刑はひどすぎるわ)

 まだ決まったわけではないが、ディオンに会って話を聞かなければと思った。

 そこで小さく扉が叩かれ、考えていた人が姿を現す。


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