平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
(納豆とか、煮魚とか食べたいな……)
ここの食事に醤油や味噌の味つけが出たことはないので、無理な話だろう。
(お母さんの手伝いをしておけばよかった)
剣道ばかりで、料理をしてこなかった桜子は後悔している。
「どうした? 食欲がないのかい?」
まだ口にしない桜子に、カリスタは首を傾げる。心配をかけっぱなしのカリスタに、元の世界の話をすれば気にしてしまうと考え、桜子は大きく首を横に振る。
「あります! あります! いただきます!」
桜子は目の前の大きな肉を食べ始める。
そんな桜子の気持ちがわかったカリスタは、気の毒なため息をつきたいのを堪えて食べ始めた。
「……そういえば、殿下がいらしたんだねえ」
「えっ? あ、そうなんです……」
まさか腕枕をしてもらっているうちに眠ってしまったなどと言えず、桜子は困る。
「殿下はサクラが気になるのだね」
「そんなことないですよ。た、たまたまです。だって、ディオンさまは女った――」
女ったらしと言いそうになって、慌てて口ごもる。
「ディオンさまは女った……? なんだい? 女ったとは……?」
聞きなれない言葉に突っ込んでくるカリスタだ。
「……女った、ではなく、女ったらし……つまり、女と見たら見境なく……」
この国の皇子にそんなことを言ってはいけないのはわかるが、カリスタの問いかけに、つい話してしまう。
次の瞬間、カリスタは大きな声で笑った。その笑い声は廊下にも聞こえそうなくらいである。
ここの食事に醤油や味噌の味つけが出たことはないので、無理な話だろう。
(お母さんの手伝いをしておけばよかった)
剣道ばかりで、料理をしてこなかった桜子は後悔している。
「どうした? 食欲がないのかい?」
まだ口にしない桜子に、カリスタは首を傾げる。心配をかけっぱなしのカリスタに、元の世界の話をすれば気にしてしまうと考え、桜子は大きく首を横に振る。
「あります! あります! いただきます!」
桜子は目の前の大きな肉を食べ始める。
そんな桜子の気持ちがわかったカリスタは、気の毒なため息をつきたいのを堪えて食べ始めた。
「……そういえば、殿下がいらしたんだねえ」
「えっ? あ、そうなんです……」
まさか腕枕をしてもらっているうちに眠ってしまったなどと言えず、桜子は困る。
「殿下はサクラが気になるのだね」
「そんなことないですよ。た、たまたまです。だって、ディオンさまは女った――」
女ったらしと言いそうになって、慌てて口ごもる。
「ディオンさまは女った……? なんだい? 女ったとは……?」
聞きなれない言葉に突っ込んでくるカリスタだ。
「……女った、ではなく、女ったらし……つまり、女と見たら見境なく……」
この国の皇子にそんなことを言ってはいけないのはわかるが、カリスタの問いかけに、つい話してしまう。
次の瞬間、カリスタは大きな声で笑った。その笑い声は廊下にも聞こえそうなくらいである。