平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
上機嫌なカリスタと、困惑気味の桜子。正反対のふたりのもとへ、イアニスがやってきた。
「おや、もうお前に報告が行ったのかい?」
カリスタは面白くなさそうに孫へチラリと視線を向けた。
「おばあさま、酒は医者から禁止されています」
桜子はイアニスの言葉に驚いた。
「カリスタ、どこか悪いんですか?」
「サクラ、あの医者は意地悪なだけなんだよ。ほら、イアニス、一杯くらいならいいんだよ。注いでおくれ」
イアニスも全面的に禁酒をさせたいわけではなく、酒の瓶を持っている。
「一杯だけですよ」
グラスに琥珀色の酒が注がれる。
「さすが、私の孫だよ。少しくらい飲まなければ余計に寿命が縮まっちまうよ。こんなに気分がいいっていうのにさ」
イアニスが、ポカンとふたりを見ていた桜子へ視線を向ける。
「おばあさまは、なぜこんなに上機嫌なのですか?」
「わ、わかりません……」
桜子は首を左右に振った。
「サクラといると、若返った気分になるよ。お前も仏頂面していないで、サクラのような天真爛漫な子になっておくれ」
「天真爛漫ですか……? そんなのは今さら無理です」
「そうだったねえ。生まれたときから真面目過ぎて、面白味のない孫だったよ」
そう口では言うカリスタだが、イアニスを誇りに思っている。
「サクラは病み上がりです。気をつけてください。ディオンさまにお叱りを受けますよ」
諭しながら、これほどまでに心を許している祖母を見るのは初めてだと、イアニスは思う。
「おや、もうお前に報告が行ったのかい?」
カリスタは面白くなさそうに孫へチラリと視線を向けた。
「おばあさま、酒は医者から禁止されています」
桜子はイアニスの言葉に驚いた。
「カリスタ、どこか悪いんですか?」
「サクラ、あの医者は意地悪なだけなんだよ。ほら、イアニス、一杯くらいならいいんだよ。注いでおくれ」
イアニスも全面的に禁酒をさせたいわけではなく、酒の瓶を持っている。
「一杯だけですよ」
グラスに琥珀色の酒が注がれる。
「さすが、私の孫だよ。少しくらい飲まなければ余計に寿命が縮まっちまうよ。こんなに気分がいいっていうのにさ」
イアニスが、ポカンとふたりを見ていた桜子へ視線を向ける。
「おばあさまは、なぜこんなに上機嫌なのですか?」
「わ、わかりません……」
桜子は首を左右に振った。
「サクラといると、若返った気分になるよ。お前も仏頂面していないで、サクラのような天真爛漫な子になっておくれ」
「天真爛漫ですか……? そんなのは今さら無理です」
「そうだったねえ。生まれたときから真面目過ぎて、面白味のない孫だったよ」
そう口では言うカリスタだが、イアニスを誇りに思っている。
「サクラは病み上がりです。気をつけてください。ディオンさまにお叱りを受けますよ」
諭しながら、これほどまでに心を許している祖母を見るのは初めてだと、イアニスは思う。