平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「申し訳ありませんでした! 殺すつもりはなく――」
「ならば、なぜ毒を入れた!?」

 イアニスが大きな声で問う。

「それは……」

 ザイダは答えられない。桜子はディオンの前に進み出た。

「ディオンさま、ザイダとふたりだけにしてもらえますか?」
「なにを言っている? ふたりだけにさせられるわけがない」

 ディオンは即座に首を横に振った。

「お願いします。話をさせてください。それに、私は男性を三人倒したんですよ? この人に負けませんから」
 ザイダに襲いかかってこられたとしても、負けない自信はある。
「サクラ……」

 ディオンは決めかねていた。

「お願いです」

 桜子は力強い瞳でディオンを見つめる。しばしディオンのアメジストの瞳は、桜子の漆黒の瞳から視線を逸らさなかった。

 そして――。

「仕方がないな。わかった。ふたりだけにしよう」

 ディオンがイアニスたちに合図をして、裁きの間に桜子とザイダだけになった。

「……どうしてふたりだけに?」

 ザイダが困惑した表情で桜子に聞いた。

「本当に私を殺す気だったの?」

 同い年に見えるザイダに、桜子ははっきり問う。

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