No border ~雨も月も…君との距離も~
シンは ステージから ひらりと降りて私に近づく。

ポケットに 両手を突っ込んだまま……照れてるのを隠して 大きく息をつく。

「 初めて会った時から、紗奈のことが……好きだった。

そして、今も…紗奈だけが 好きだから。

思い出になんか やっぱりできない。

できなかった………。

4年間……いつだって 俺の夢の先には紗奈がいたんだ。」



シンが 近すぎて……心が 怖がっている。

ドキドキが………

きゅんを通りすぎて………

怖がっている。




「 夢のてっぺんに……紗奈がいて 欲しいんだ。」




私の目から 後から後から……涙が 止まらない。

こんな自分を…止められない。



「 だって…だって、シンは Dーカクの……。」




「 僕じゃ……ダメですか? 」



私には その声と、その瞳と、その笑顔に……

もう…立ち向かうほど、楯突くほどの …力など無い。

……あの冬の日、

borderを引いた心が、氷の恋が……一瞬にして溶けて

息を吹き返す。


シンといると…温かい。



「 シン……逢いたかった。ずっと、ずっと…逢いたくて……ずっと、ずっと…シンを想ってた。」

両手で 涙を拭う 子供のような自分に恥ずかしくなる。

けど……今、こうしていることに精一杯の私がいる。



「 言えよっ……。俺じゃなきゃ ダメだって……言えよっ。 」

優しく、甘い その声は…いつも少し強引で、私を私で失くしてしまう。

違う……シンにはいつも 心を裸にさせられる。

スルスル 脱がされて、丸見えになる。

だから……怖いのカナ。



「 シン。 シンじゃなきゃ……シンじゃなきゃ、

ダメだよ……。」


ダメに決まってる。

シンの代わりなんて……どこにもいない。


「 私には……シンしか いないよ。」






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