副社長はワガママ5歳児。
これから新たな道を探してもいい。
いや、探すべきだと思う。
でも、右も左も分からない状態で
これ以上安易に動くのは危険だ。
さっきのスタッフさんが
なかなか戻らない私の事を
心配して探しに来てくれるかもしれない。
下手に動くと悪い方向にしか
転ばない事は分かっているから
私はその望みにかける事にした。
薄暗い森みたいな場所に
リアカーを 置き、大きな柊の木の下に
腰をおろした。
遠くから聞こえる名前も知らない
鳥の鳴く声。時より吹く風に
音を立てる森の木々。
賑やかなあの場所から少し
離れるだけでこんなにも
静かな空間がある。
雑踏の中、毎日慌ただしく生きる
私にとってそれは心休まる空間だった。
でも、同時に怖くもあった。