エリート御曹司は獣でした
久瀬さんは自席に戻っていて、受話器を片手に顧客と思われる誰かと会話しながら、パソコンの画面を見つめてマウスを操っている。
いつものことながら、忙しそうだ。
電話の相手は、先週のコンベンションセンターで話を聞きたいと言ってもらえた食品メーカーの人だろうか……。
そんな予想をしつつ椅子に座れば、机の下に置いていたショルダーバッグに足が触れた。
それを持ち上げ、膝の上に置き、中を覗いて考える。
こうなれば、早弁するしかないのかな。学生の頃のように……。
今日も好物ばかりを詰め込んだ、手作り肉弁当を持参している。
今朝焼いていた時のハンバーグの香りを思い出すと、口内が潤ってくる。
そのまま誘われるようにバッグに手を差し入れた私であったが……久瀬さんの声が耳に届いてハッと我に返った。
「ありがとうございます。では、本日十三時に伺います。よろしくお願いします」
そう言って電話を終えた彼はきっと、昼休みを取らないつもりなのだろう。
久瀬さんを見て後ろめたい思いが湧き上がった私は、肉への想いを断ち切ってバッグを机の下に戻し、キーボードに手を置いた。
このどうしようもない肉欲求を、そろそろなんとかしないと。
肉よりチョコを喜ぶことはできそうにないが、せめて肉より仕事を選べる女にならなければと、自分を戒めていた。
いつものことながら、忙しそうだ。
電話の相手は、先週のコンベンションセンターで話を聞きたいと言ってもらえた食品メーカーの人だろうか……。
そんな予想をしつつ椅子に座れば、机の下に置いていたショルダーバッグに足が触れた。
それを持ち上げ、膝の上に置き、中を覗いて考える。
こうなれば、早弁するしかないのかな。学生の頃のように……。
今日も好物ばかりを詰め込んだ、手作り肉弁当を持参している。
今朝焼いていた時のハンバーグの香りを思い出すと、口内が潤ってくる。
そのまま誘われるようにバッグに手を差し入れた私であったが……久瀬さんの声が耳に届いてハッと我に返った。
「ありがとうございます。では、本日十三時に伺います。よろしくお願いします」
そう言って電話を終えた彼はきっと、昼休みを取らないつもりなのだろう。
久瀬さんを見て後ろめたい思いが湧き上がった私は、肉への想いを断ち切ってバッグを机の下に戻し、キーボードに手を置いた。
このどうしようもない肉欲求を、そろそろなんとかしないと。
肉よりチョコを喜ぶことはできそうにないが、せめて肉より仕事を選べる女にならなければと、自分を戒めていた。