エリート御曹司は獣でした
奪われたビーフジャーキーとサラミの行方も犯人もわからぬまま、三日が過ぎた朝。

出勤したばかりの私は、自分のデスク前に立ち、異常がないかと点検するような視線を椅子や机上に向けていた。

すると、閉じたノートパソコンの上に、チケットのようなものを見つけた。


こ、これは……!


私の行きつけとも言っていい、チェーン展開している焼肉店の、食べ放題無料券である。

つい喜んで手に取ってしまったが、よく見れば、期限が昨日で切れている。


ぬか喜びさせて……。


思いきり顔をしかめた私は、それを握り潰して周囲を見回した。

今朝はいつもより三十分早く出勤したため、部署内の人影はパラパラだ。

その中に私に恨みがありそうな人はなく、このチケットは昨日の私の退社後に、誰かが置いたものではないかと推測した。


となると……犯人の目星はさっぱりつかない。

昨日はスーパーマーケットのパックの肉に、値引きシールが貼られる時間を気にし、定時になると真っ先に退社した。

そのため、私の机にいたずらを仕掛けることのできる人は、事業部の社員ほぼ全て、ということになってしまう。

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