エリート御曹司は獣でした
そういう寛大なところも大好きだと、彼の笑顔にときめきながら、私は全皿の三分の二ほどをたちまち胃袋に詰めてしまった。

満足感を得たら、あとはゆっくり楽しもうと、いったんカトラリーを置く。

新たな治療法について考えていたことは、忘れていない。

ナプキンで口元についたソースを拭いつつ、上品に魚料理を食べる彼に話しかける。


「久瀬さん、そういえば変身体質が始まったのって、十二歳の時だと言ってましたよね」


会議室で初めて変身する様子を見た後に、正気に戻った彼が確か、そう言っていた。


「なにかキッカケのようなものが、あったんですか?」と、治療に繋がるヒントを求めて問いかければ、オマール海老に向けられていた久瀬さんのフォークが止まった。


「あると言えば、あるが……」


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