エリート御曹司は獣でした
「喉が乾いたな」と言って、幸秀くんはすぐに冷蔵庫を開けている。

取り出したのは、コーラの五百ミリリットルのペットボトルである。

「俺の分のコーラもある?」と久瀬さんが聞けば、冷蔵庫の扉を閉めた幸秀くんは、「ない。これ一本だけ」とニヤリとして答えた。


「じゃあ麦茶でいいや」


本当はコーラを飲みたい気分であったのだが、こういうのは早い者勝ちだと、久瀬さんは諦めた。

半分ちょうだいと言ったところで、幸秀くんがくれるはずがない。

彼は少し意地悪なところがある。

喧嘩をしてまでコーラを分けてほしいと要求する気はなかった。


けれども、「半分やるよ」という思いがけない優しい言葉を、幸秀くんから聞く。

彼はグラスをふたつ持ってきて、コーラを半分ずつ注ぎ、「ありがとう!」と喜ぶ久瀬さんにそれを渡した。


その時、久瀬さんは、ふと疑問を感じた。

今開けたばかりにしては、炭酸の気泡が控えめである。

コップに注いでから一時間ほど放置していたような、炭酸の具合なのだ。


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