エリート御曹司は獣でした
ファイルを手に、仕事中ですよといった顔をして、私は会議室に向かっている。

この建物は、七階建ての自社ビルで、事業部は三階の南西に位置している。

三階には他に二部署が入り、大きさ様々な会議室が三つと、給湯室や休憩所もある。


ローヒールのパンプスをコツコツと鳴らして廊下を進む私は、大会議室Aの前を素通りし、一番小さな会議室Cの前で足を止めた。

ここでビーフジャーキーを食べようと思ったのだが、あいにく、ドア横のプレートが使用中になっている。

それならばと、隣にある中くらいの広さの会議室Bの前へ行ったが、ここも使われており、どうやら今は会議室Aしか空いていない様子であった。


会議室Aは、広すぎて落ち着かないんだけど、まぁ仕方ないか……。


三十分ほどすれば、うちの課のミーティングが始まってしまうし、私の胃袋がグウグウと肉を要求してうるさいので、待っていられない。

それで、いつもは選ばない会議室Aに入ろうとしたら、後ろから声をかけられた。


「奈々子、これから会議?」
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