エリート御曹司は獣でした
艶々と輝くひと切れを取り出し、口に入れて噛み締めたら……私はカッと目を見開き、片手で口元を覆った。


なにこれ!? いつも買っている五百円ほどのコンビニのものと全然違う。

柔らかくて、脂の旨味がすぐに溶け出し、口の中に芳醇な香りが広がる。

塩加減がちょうどよく、ご飯のおかず…いや、メイン料理にもなりそうな逸品である。


どうしよう……高いのに、美味しすぎて、追加でお取り寄せしたくなる。

頭の中には、生活費という文字を踏みつけるようにして、美男美女の和牛さんたちが群れで登場し、色気たっぷりに私を誘惑してきた。


『買う? COW? モウ十袋、買っちゃう?』

『はい! ぜひ買わせていただきます!』


モリモリと夢中でビーフジャーキーを食べながら、妄想の中で和牛さんたちと会話していたら、突然会議室のドアがノックされた。

誰か来た!とハッと我に返ったら、ドア横のプレートを使用中にし忘れ、鍵も閉めていなかったことに今、気づいた。

ビーフジャーキーを口いっぱいに頬張っている状況なので、ドアを開けられたら、仕事をさぼって肉チャージしていたのがバレてしまう。
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