エリート御曹司は獣でした
耳元にクスリと笑う声が聞こえる。
「変身していないよ。俺の意思で抱きしめている。奈々子が拒むならいつでもやめられるけど、こうしているのは嫌?」
「い、嫌じゃないです。でも、あの……どうして? 偽恋人関係は、治ったら終了という話でしたよね?」
背中に回された腕の力が緩み、密着する体を少し離された。
拳ふたつ分の距離で私を見つめる久瀬さんは、獲物を狙う狼ではなく、いつものように優しげな顔をしていてホッとする。
けれどもその瞳は甘い色香を湛えており、どこか嬉しげで、どこか切なげな複雑な表情を浮かべた彼が、「ごめん」と謝った。
「これまで、曖昧な関係を続けてすまなかった。だが、どうしても治るまでは言いたくなかった。君のいないところでポン酢を口にしてしまったら、他の女性を口説いてしてしまうだろうから。奈々子を一ミリも傷つけたくなかったんだ」
「変身していないよ。俺の意思で抱きしめている。奈々子が拒むならいつでもやめられるけど、こうしているのは嫌?」
「い、嫌じゃないです。でも、あの……どうして? 偽恋人関係は、治ったら終了という話でしたよね?」
背中に回された腕の力が緩み、密着する体を少し離された。
拳ふたつ分の距離で私を見つめる久瀬さんは、獲物を狙う狼ではなく、いつものように優しげな顔をしていてホッとする。
けれどもその瞳は甘い色香を湛えており、どこか嬉しげで、どこか切なげな複雑な表情を浮かべた彼が、「ごめん」と謝った。
「これまで、曖昧な関係を続けてすまなかった。だが、どうしても治るまでは言いたくなかった。君のいないところでポン酢を口にしてしまったら、他の女性を口説いてしてしまうだろうから。奈々子を一ミリも傷つけたくなかったんだ」