エリート御曹司は獣でした
今度買ってみようと思い、ゴクリと喉を鳴らした私だったが、その後にはビクリと肩を揺らした。


「マズイ! ポン酢が入ってた……」


そう言った久瀬さんが、急に箸を落として立ち上がると、喉を押さえて苦しみだしたのだ。

喉に詰まらせたのかと思った私は、ファイルとビーフジャーキーの袋を床に投げ置いて、慌てて彼に駆け寄った。

苦しげに前屈みになりながらも、「相田さん!?」と彼は目を見開いている。

隠れていてすみませんと謝っている場合ではない。

「久瀬さん、喉詰まりですか? お茶飲んでください! 背中叩きます?」と心配する私に彼は、「違う……」と呻くように言った。


「体に合わないものが、入っていて……」


彼は私から離れてフラフラと歩きだし、会議室の後ろ壁に片手をついた。

それを追いかける私は、さらに慌てて、ポケットからスマホを取り出す。


「アレルギーってことですね? 大変、救急車を呼ばないと!」


アナフィラキシーショックが命に関わることは、テレビやネット情報で知っている。

さっき、ポン酢がどうのと言っていたから、久瀬さんはポン酢アレルギーなのだろう。

そう思って緊急通報しようとしたのだが、振り向いた彼にスマホを取り上げられてしまった。
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