エリート御曹司は獣でした
食われるとは……肉体関係を結んでしまうということだろう。

過去に彼氏はひとりだけで、それも短期間でふられて終わった私は、恋愛慣れしていない。

久瀬さんとのベッドシーンを頭に描いてしまったら、顔から火が出そうに恥ずかしくなった。

その気持ちを無理やり押し込めて、彼から視線を外さず、真面目に説得を続ける。


「万が一そうなっても、責任を取れとは言いません。それに、たった三分では、そこまでの行為はできないと思います。キスは、さっきしてしまったので、一度も二度も変わりません。むしろウェルカム。久瀬さんのこと大好きですから!」


勢いあまって告白してしまい、ハッと我に返ったら、瞬時に耳まで熱く火照った。

目を瞬かせている彼に、「俺のこと好きなの?」と問われて、慌てて言い訳する。


「あの、その、アレです。先輩として、という意味です。久瀬さんみたいにすごい男性と、恋愛したいとか、そんな期待はペラッペラの生ハムほども抱いていないと言いますか……」


焦れば焦るほど、支離滅裂な弁解となり、期待の程度は生ハムだの、薄切りベーコンだの、安物餃子の中に入っている挽肉だのと言いつつ冷や汗を流していたら、久瀬さんが吹き出した。

肩を揺すり、お腹を抱えて笑う彼に、私はポカンとしてしまう。

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