恋の神様に受験合格祈願をしたら?
 画面を見ると、ケイからのラインだった。
 『日向ちゃん発見』の見出しに、俺は階段の途中で立ち止まると、画面を開いた。
   日向ちゃん発見
   犯人複数
   ヒロ証拠録画中
   俺職員室
   視聴覚教室
   上
   女子トイレ
 要件のみの暗号的な箇条書きに、俺は舌打ちをした。
 盲点だった。
 俺たちがニコちゃんを見失った理由は簡単だった。
 だって、普通1階にしかない自動販売機へ行くのに、上の階へは向かわないだろう。
「犯人、証拠、女子トイレって、イジメかっ!」
 俺は階段の手すりを掴むと、腕の力で無理やり2段くらい体を持ち上げると、その反動を利用して駆けあがった。
 証拠撮影中で職員室ってことは、教師を呼びに行ってるってことか。
 つまり、イジメが続行されてるってことかよ。
 アイツら、証拠も現行犯確保も大切だろうが、一番護らなきゃならないものを間違えてる。
「クソッたれが!」
 叫んで3階に到着した俺の下から、「大志くん」とケイの声がしたが無視。
 今は1秒でも早くニコちゃんを助けることが最優先だ。
 俺は4階へ続く階段を、2段飛びで駆けあがった。
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