恋の神様に受験合格祈願をしたら?
「確かに、3人ともとってもいい子よ。生徒会は忙しいから、お手伝いが欲しかった。これは仕方がないわ。今のメンバーがベストすぎて、他の人たちを勧誘できなかったし、下手に誘って気を遣うのもイヤだった。だから、ずっと最少メンバーでやってきたんだけど……。本当に、あの3人は文句なしの最高の人選だった。けど……」
 仁美ちゃんが3人を見つめた。
 そして、つらそうに目を細めた。
「リョーイチの提案を飲んだせいで、ニコちゃんたちはほとんどの先輩女子を敵に回してしまった。ここにいても、3人の話題をする人は多いわ。そのとき、聞こえてくるのよ。『ブス』とか『ムカつく』とか」
 仁美ちゃんが3人から目を逸らした。
 そして、俺を見た。
「大志、この状態でニコちゃんを……ううん、ニコちゃんたちを護れる? 学年が違う。教室は別の階。毎日一緒にいられる時間はわずか。女子しか入れないとこには入れない。なにより、ニコちゃんはいい子すぎて真面目で我慢する子だから、親友2人みたいに私たちに受けたイジメの報告をしないし、イジメに立ち向かえない。傷つき続けるのが目に見えてる」
 今まで同性からのイジメで傷ついてきた仁美ちゃんの言葉は重い。
 いいや、今も仁美ちゃんはイジメられている。
 俺たちの目が届かないところで嫌味を言われるのは当たり前だと言っていた。
「同性の私でも、ニコちゃんたちの全部を助けることなんてできない。だったら、せめて傷ついた部分をケアしてあげなきゃって思うの。それがアンタにできる?」
 仁美ちゃんが俺を真っすぐに睨みあげた。
 普通のヤツなら怯むだろうけど、俺はその目力を受け止めた。
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