オジサンに恋しちゃダメですか
頭の中が、真っ暗になった。

その後は、課長が上手く誤魔化してくれたけれど、覚えていない。


記憶が戻ったのは、プレゼン終了後の会議室だった。

「どういう事だ?瀬田。」

「まあまあ、課長。大事に至らなかったんですし。」

なぜか四宮君も残って、私をフォローしてくれた。

「すみません。最後の最後で、私がチェックしていれば。」

頭の下げっぱなし。

仕方ない。

課長に恥をかかせたんだから。


「起こってしまった事は、仕方ない。今度からは気を付けてくれ。」

「はい。」

課長は、資料をファイルに入れると、はぁーっとため息をついた。

「なあ、瀬田。こんなミスをするなんて。最近、恋に現を抜かしているんじゃないのか?」

「えっ?」

「もっと大事な事が、他にあるだろうって、言ってるんだ。」

そう言って課長は、会議室を出て行った。
< 90 / 103 >

この作品をシェア

pagetop