クールなアイドルの熱烈アプローチ
「こ、越名さん!?
え!?何で!?何でこんな所に……!」

風呂から上がったばかりの陽菜はリビングのソファーに座っている勇人を目にして驚きを隠せずに入り口で突っ立ったまま固まった。
例のふわもこパジャマを着て、まだドライヤーを当てていない髪はしっとりと濡れていて、毛先からポタッと水滴が落ちた。

「ライブの合間のオフを利用して来てみたらしいよ」

「わざわざこんな所に!?」

休息には大事な体を休ませないといけないんじゃ……。と陽菜は心配するが、勇人はただ一言、会いたかったから。と告げた。

「え……えっと、朝陽に?」

「君に」

恥ずかしげもなく伝える勇人に陽菜は赤くなり、朝陽は、うわー。と声をもらした。

「ちょっとちょっと、勇人さん?俺がいる時に口説くのやめて?
甘ったるくて砂糖吐きそう」

「まだ口説いてないが……?」

「え?なら今の素で言ったの?自覚したらぐいぐいいくタイプ?
うわー、マジで?うわー……」

声にならない声を発しながら見悶える朝陽はいきなり立ち上がり、無理!俺、部屋にいる!とリビングを出ていってしまった。

まだ立ちっぱなしの陽菜はポカンとしていたが、勇人は自分の隣の空いてる場所をポンポンと叩いた。

言葉にしていないだけで、ここにおいで。と呼ばれたのだと分かり、陽菜は未だに真っ赤な顔のまま大人しく勇人の隣に座るが、自分の家なのに緊張して固まったままだった。
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