クールなアイドルの熱烈アプローチ
「確かに越名さんは無口で言葉数少なかったりしますけど、嫌な雰囲気の沈黙じゃないですし、優しい瞳してますし、笑った顔は素敵だし、エスコートもスマートだし、あんなに素敵な人いませんよ!」

一息に言い切った陽菜は、よく言った、私!と自分で自分を褒めようとしたが、ポカンとした彼女は徐に下を向き、ついには吹き出して大笑いしだした。

「やっ……ちょ……秋村さん、おかし……っ!」

「え?……え?」

「なるほどー、越名さんだけでなく、秋村さんも越名さんのこと大好きなんですねー。
うわー、ラブラブだー。のろけられちゃったー」

鼻唄混じりに言い出す彼女にポカンとしていた陽菜は、自分がなんと言ったか冷静に思いだし、やがてボンッと赤くなった。

「わ、忘れてくださいっ!」

「ダメですよー、みんなに秋村さんも越名さんのこと大好きなんだって広めるんですー」

「やめてくださいーっ!!」

見る人が見れば、キャッキャッと楽しそうにじゃれてるようにしか見えない二人を同じ部屋の隅の方にいた堀原は呆れたように見ていた。

「……まあ、スキャンダルさえ起こさなければ構わないが」

そう小さな声で呟いた堀原は一つ息をつくと自分の手帳を広げ、そして陽菜の四冊の手帳が未だに行方不明なことを思い出した。

けれどそれは然程気にすることもないだろうと頭の隅に押しやり、これからのスケジュールを確認していった。
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