クールなアイドルの熱烈アプローチ
「大堂さん、うちの秋村に近づかないでくださいと言ったでしょう?」

スタジオについてからも大堂は陽菜にベッタリとくっついて離れなかった。

陽菜がやんやり距離を取ろうとすると大堂も動く。
どんどん距離を短くして密着してくるものだから、終いに陽菜は壁と大堂に挟まれて身動きが取れなくなっていた。

助けを求める陽菜の視線に気付いたスタッフが堀原を呼びに行ったのだろう。
スタジオに入ってきた瞬間から堀原は怒っていて、鋭い眼差しを大堂に向けていた。

「えー?共演者と仲良くするのは良い作品を作っていく上でも大事だと思うんですけどー?」

「仲良くするのと馴れ馴れしくするのとは、全く別のことだと思いますが?」

「そちらは適度なスキンシップも許さない事務所なんですか?」

「貴方のは適度とは言えないのでは?」

まさに一触即発という雰囲気で大堂と堀原が言葉の応酬を繰り出している。
堀原は見るからに怒っているが、大堂は何を考えているのか楽しそうに笑っているように見えた。

ーーでも、この人……いつも目が笑ってない……。

大堂の不自然な笑みに陽菜は悪寒が止まらなかった。

「だ、大堂さんっ。
そろそろスタンバイお願いします」

蛯名が何故かビクビクしながら大堂に声をかけると、大堂は一瞬冷たい眼差しを蛯名に向けてから笑顔で陽菜を見た。

「じゃあ、陽菜ちゃん。
また後でね」

にこやかに手を振る大堂を陽菜は固まった笑顔で見送った。
< 83 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop