ひとりだと思っていた君へ





休み時間に柚月が携帯を見るとメールが届いていて、ハローくんかなと確認すると須長くんからのものだった。

『ちょっと話したいことがあるんだけど、会えない?』
と改めたような口調で、話したいことってなんだろうかと首を捻りながら返信する。
学校ですれ違うときに話していたけど、いつもと変わらない様子だった。
そう言えば、この前家に来たときも同じようなことを言ってたことを思い出す。

『いいけど、何かしたの?』
『メールだと伝わりにくいと思うから、直接話したいんだけど』
『わかった』
と、放課後に約束をした。





ホームルームが終わり柚月が鞄に手をかけると「柚月ー。なんかさ渋くんから放課後遊ぼうってメールきててさ」と湖夏が声をかけてきた。

「あ、そうなんだ。遊ぶの?」
「うん。そのつもり。こっちの方まで来てくれるっていうからさ。柚月もどう?」
「ごめん、今日、用事あるんだ。じゃあ明日ね」
と足早に出て行く。

「あ、嘘、もう行くの? バイバーイ」
と見送り
「なんだ。ハローくんも連れてきてってお願いしちゃったのにな。余計なお願いしちゃったかな」と独り言を呟いた。
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