結婚前夜
博物館のイチ押しは、展示物もだが、イングリッシュガーデンだ。

イギリスの庭園を模した庭は、バラの花が咲き誇って観る者を魅了する。

綺麗に剪定されている植栽や、噴水、ベンチ等、計算し尽くされた配置には、感嘆の声が聞こえてくる。

でもこの時期に庭園散策は酷だろう。

博物館内の特別展が、たまたま女性向けのキャラクター展だった。

きっと彼女も喜んでくれるだろう。

博物館の開館時間は午前10時。
待ち合わせは10時半。
そして現在10時15分。

駐車場に到着して、彼女の姿を探してみたけれど、ここでは見つけられなかった。

ロビーで待つとするか…。
今回は無理言って呼び出した側だ、待たせる訳にはいかない。

ロビーに入り、彼女の姿が目に入った。
彼女以外、何も見えない。

「山本さん」

まさか先に来て待ってくれているとは思わなかった。

「おはようございます。お待たせして申し訳ない」

俺は彼女に声をかけながら近寄った。
< 23 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop