契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「これでやっと……ためらわなくていいんだな」
「え?」
ためらわなくていいって、なにを?
「ずっと我慢していたんだ、お前に触れること。お前の心にもう迷いがないのなら、俺もためらわない。――今夜、結奈を抱きたい」
「彰さん……」
欲望をむき出しにしたセリフと、体の芯に響く甘い低音ボイスに大きく鼓動が跳ねる。
彰さんとそうなることを想像すると恥ずかしくてたまらないし、緊張もする。
だけど、心に迷いはない。私だって、ずっと望んでいたのだもの。
「私も……じつは、けっこう焦れていました。でも、自分で男の人を誘うなんて高等な技術は持ち合わせていないし、ただひとりで悶々とするばかりで……」
この頃ずっと自分の中にくすぶっていた思いを、正直に打ち明ける。
すると彰さんはなぜか含み笑いを浮かべ、少し意地悪な口調で話し出す。
「……知ってるよ。俺の寝込みを襲ってキスしたことがあるだろう。俺は正直、あの時が一番自分を押さえるのに苦労した。俺からそういう行動を起こすと照れて真っ赤になる結奈が、自分からキスしてくるなんて……あのままソファに押し倒さなかった自分を褒めてやりたいよ」