契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
あんな会話の後だから恥ずかしいのに、キスだけで体が熱を持ち、もっともっとと欲しがるような気持ちが、心の奥から湧き上がる。
彰さんの前だと、自分でも知らなかった女としての自分が目覚めるのを感じる。
思えば彼と夫婦になってからは、ほかにもいろいろな感情で胸が忙しく、ときめいたり切なくなったり、時には傷ついたりしもした。
でも、どんなにこの胸が傷を負ったって、彰さんに対する想いだけはずっと変わらなかった。
それどころか、愛しい気持ちは募るばかりで……私には、この人が必要なんだと強く思わされた。
「彰、さん……」
唇を重ね合わせるたびに高ぶる気持ちを伝えたくて、私は呼吸を乱したままで告げる。
「好きです……私、彰さんが、大好き」
言葉にしないといられないほど、胸にあふれる想い。
どうか彰さんに受け取ってほしいと思いながら見つめた先の彼は、なぜか苦し気に眉根を寄せていた。
「結奈……お前、こんな場所で俺の理性を保てなくなるようなこと言うな」
「えっ……。ごめん、なさい」
今私、怒られた? とっさにそう思ってしまい、不安な表情で謝るけれど。